2010年12月29日

消費税と派遣・請負

先月、日本共産党大和高田市議団が市に対して行った
「来年度の予算編成についての申し入れ」の回答が届きました。

いくつかの前進した回答はありましたが、
「子どもの医療費無料化の拡充」などはほぼゼロ回答でした。
「高すぎる国保料の引き下げ」や、地域の事業者に仕事をまわす
仕組みを作る「小規模住宅改修工事の登録制度創設」も
申し入れに対して前向きな回答ではありませんでした。
今後、議員団・市政対策委員会でしっかりと議論し、今後の論戦で
市の姿勢を厳しく質していきたいと思います。

さて、一昨日のニュースですが、産経新聞で
「消費税をめぐる脱税や節税が広がっている」という報道がありました。

有名中華チェーン 消費税7000万円、不正還付
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00000096-san-soci

不正還付や脱税後絶たず、摘発強化へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00000507-san-soci

消費税は、消費者から見ればほとんどすべての支払いに5%がかかるという
単純明快なものですが、それが納税される仕組みはなかなか複雑です。
消費税に「還付」があることも、あまり知られていません。

消費税には「仕入れ税額控除」という仕組みがあります。
これは、売り上げによる収入につき、5%の消費税をお店や会社は
預かりますが、その5%分すべてを納税するのではなく、仕入れの時に
自ら支払った消費税の額を差し引いた分だけを納税すればよいというものです。

消費税1.jpg

このことでお店が得をしている、というわけではありません。この仕組みが無ければ
部品製造→完成品製造→卸売→小売・・・と流通していく過程で、消費税の5%が
価格にどんどん上乗せされてしまい、流通を妨げ、消費者の負担はずっと重くなります


この仕組みでは、例えばお店側に経費がかさんだり、お金を借りて建物や大型機械を
購入するなどして、お店が一年間に支払った消費税の額が、売り上げとともに
預かった消費税の額を超えた場合、お金が還付されることになります

消費税2.jpg

所得税などの所得控除とは違い、税額控除は税額そのものをまるごと差し引くことが
出来るという特徴があります。今回の不正事件は、これを悪用したものです。
支払った消費税を実際よりも多く申告し、消費税の納税を逃れる、あるいは還付を
受ける、考えてみれば、脱税の手口としては単純な方法です。

消費税の増税を主張する人たちのなかには「所得税や法人税は脱税・節税があるが
消費税はとりはぐれのない税金だから収入が確保できるし、不公平もない」
という人がいますが、実際はそう単純ではありません。
負担にとりはぐれがなくても、納税にはとりはぐれは起こるのです。

このほかにも消費税には、資本金が小さく、設立2年以内の法人は消費税の
納税を免除されるルールがあり、これも悪用されることがあります。

また、赤字で苦しい会社が、運転資金に窮して、預かった消費税を使ってしまうことも
あり、消費税の滞納額は実は税金の滞納額全体の45.8%(2008年度)に
達しています。ワースト1の滞納税なのです。


さらに、もうひとつの問題があります。
脱税の手口が、「職員を派遣会社から派遣されているように装った」という
ものでした。なぜ、それが脱税を可能にしてしまったのでしょうか。
職員に払う給与には、消費税が含まれていません。一方、派遣社員
の「人件費」は、実際は派遣会社に対して払う「仕入れ代金」なので消費税が
かかります。ゆえに、消費税の税額控除を受けることができ、消費税を減らす
ことができたのです。
消費税3.jpg

注意すべきなのは、派遣会社に実体がない虚偽のものであったために、違法な脱税と
できたのですが、これが実体を伴うものであった場合、合法的な「節税」となって
しまう、ということです。
消費税の仕組みによって、同じ金額を払うのでも、直接雇用ではなく
派遣や請負にしたほうが、節税ができる、ということであれば、
会社が直接雇用ではなく派遣や請負にシフトする傾向をさらに
加速させるものとなります


最終的な消費税負担者がいない輸出関連産業ならばなおのことです。
支払った消費税が、まるごと控除され還付されることになるので、直接雇用よりも
派遣・請負など間接雇用のほうがずっと多くの還付を受けられ、メリットがあります。

日本の雇用の派遣・請負化、それに伴うワーキングプアの増大を後押ししてきたのが
消費税の税制度であるといえます。
消費税の増税はさらにその傾向を強くすることとなると思います。

また、別の面から見れば、こうした節税は、派遣・請負への置き換えを通して
働く人の手取りを下げてこそ、成り立つといえます。
上の図で言えば、もし、派遣労働者の人件費を、直接雇用のときと同じ水準=500万円
払わなければならないとしたら、メリットはなくなります。その上に派遣会社そのもの
のコストや利潤が加われば、間接雇用に切り替えることはかえって赤字になります。
派遣業への制限だけでなく、派遣労働・請負労働と直接雇用の正社員との間で
差別待遇を厳しく禁じ、同一労働同一賃金を確立して、

人件費切り下げ・消費税節税の手段として派遣・請負への切り替えが出来ない
ような方策を行う必要があると思います。

こうした消費税の問題については、ジャーナリストの斉藤貴男さんが著した
「消費税のカラクリ」(講談社現代新書)が詳しく、また分かりやすくまとめて
くれています。ぜひご一読ください。
posted by 向川まさひで at 02:47| Comment(0) | TrackBack(1) | 税制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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