2011年11月30日

考えさせられた事例


今日は昼間に生活相談で市役所へ。

長期間の失業で生活に行き詰った男性の相談でした。
この男性は、文字の読み書きがほとんどできず、簡単な計算も
ままならない状態です。
知的障害である可能性が高いと思います。
本人の成育歴をたどると、養護学校に通われていたという記憶も
あり、おそらく間違いのないところです。

しかし、この男性は知的障害の療育手帳を持っておられず、障害者福祉
のさまざまな施策を受けることができません。
ハローワークに行っても、読み書き計算ができなければ仕事はほとんどなく、
障害者雇用施策を受けるためには手帳が必要、ということで
八方ふさがりでした。

普通は、療育手帳をもらうためには、幼少時からの障害であることが
明らかでないといけませんが、この人にはその証拠を出すことができません。

ケースワーカーさんと相談し、本人の記憶にある学校は実在したこと、
家族の証言もあることから、厳しいが手帳をとれるようにすすめていくこと、
そしてあわせて生活保護の申請も行うこととしました。
手帳が取れれば、障碍者年金が得られる可能性があり、保護の必要性は
低くなります。そのうえで障害者雇用で幾ばくか収入を得られれば
保護よりもましな生活をすることができるかもしれません。

前向きに話が進んだことで、この男性もほっとしておられました。

今回のケースのように、周りが知的障害と気づかず、療育手帳を持たずに
暮らしている中高年の知的障害者の方は少なくありません。
この男性は幸いまだ家を失ってはいませんでしたが、
東京で行われたホームレスの方への調査では、3割の人に知的障害の疑いがあり、
また重複も含めて、4割の人に精神障害の可能性があるということでした。
(この統計では出ていませんが、おそらく発達障害の人も少なくないと思います)

知的障害や精神障害のために、安定した仕事に就けない、
あるいはコミュニケーションが難しく、受け入れられなかったりして、
そうした中でホームレスになってしまった人が数多くおられるのです。

そして、そうした人たちは体は特別問題がないことも多く、会話はある程度
できるので、素人目に見抜くことはできません。公的機関に相談に行っても
「健康なんだから仕事は探せばあるはず」と門前払いになったり、
また、文字が読み書きできない、知らない人とのコミュニケーションが
取れないために、相談に行くことができない人もいます。

ホームレス対策や就労支援などにも、もっとこうした障害者福祉の
視点が必要であると思いました。


また、こうした人が生活保護や年金を受けられた場合、
障碍者雇用制度などが使えなければ、実際上なかなか仕事が
見つからないと思います。
そうした中で、「あの人はまだ若いのに生活保護を受けていて、
体は問題ないのに仕事せずブラブラしている」
という偏見に
さらされる可能性が高いと思います。

知的障害者への理解をもっと広げること、障害者の就労や社会参加に
ついて、よりきめ細かい対応が必要になると思います。


夕方からは、中学校の先生が取り組んでおられる「ふれあい教室」を
見学しました。

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これは、不登校などで学校の勉強についていけなくなった
中学生のために、無料で先生が教えるものです。

男子生徒5人が、熱心に授業を受けていました。
この取り組みを支援しているPTAの森本会長のお話では、
彼らの中にはいわゆる非行に走ってしまった子もいて、
けっして最初から勉強に対して真面目に取り組んでいなかった。
しかし、先生や森本会長が熱心に向き合う中で、次第に
彼らも心を開き、きちんと時間を守って教室にも
来るようにもなったということでした。

中学校の現場では、学力の2極化が起きているようです。
これは、私も塾講師時代に感じていました。
しかし、教育現場ではその中で勉強についていけなくなる
子どもたちに対して、きちんと学力を保障するための取り組みが
なかなかできていないといいます。

先生は、「『落ちこぼれ』ではなく『取りこぼし』だ」「本当は
こういう取り組みをそれぞれの学校で、現場の先生で行ってもらうのが
望ましい」と言っておられました。
森本会長は「どんな学校にもできない子は出てくる。そういう子たちを
底上げして、しっかり学力をつけて高校に送り出すことが、
高田の教育を良くするということではないか。学力テストの平均点を
気にするなら、この子たちがみんなもう少し点数をとれるように教えて
あげればよい。この子たちこそ、伸びしろは十分にある

私も同感です。とはいえ、現場の先生が日常業務に追われていて
なかなか子どもたちひとりひとりに向き合えない現状も確かです。
少人数学級の実現や学力保障への公的支援など、
政策の方向を考えたいと思います。
posted by 向川まさひで at 23:50| Comment(0) | TrackBack(2) | 活動日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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