組合とは関係のない職員がねつ造して作成したものであるということが確認されました。
このニュースが出た当時、このブログにも書きましたが、私は半信半疑でした。
調査がされる前のこととはいえ、疑ってしまったことは
申し訳なく思います。この事実をブログにアップすることで
お詫びに代えたいと思います。
新聞記事をリンクします。
http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012032701003629.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-28/2012032801_03_1.html
さて、このことについて、維新の会、および市長の対応が批判されています。
参考(私がよくお邪魔するブログより 1 2 )
この中で市長や市議は「(議会で取り上げたことは)当然のこと」
「裏付けがないと質問ができないというなら何もできない」ということですが、
議員が行政の不備や疑惑を追及することは当然ですが、虚偽の事実で
追及し、名誉を傷つけた場合に、その議員に責任はないのでしょうか?
まず、民法の「名誉毀損」、およびより厳しい基準の刑法「名誉毀損罪」が成立しうるかどうかですが、刑法第230条の2で、名誉毀損については
「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」とあります。
市役所にかかわることであり「公共の利害」や「公益」にかかわることではありますが、「真実であること」が条件となっています。虚偽の事実に基づいて、公益のためと思い込んで他人の名誉を棄損した場合、「騙されていた」「嘘だとは知らなかった」という言い訳は通じません。
ただ、判例では「確実な証拠や根拠、資料があって真実だと誤信した場合には、真実でなかったとしても罰せられない」というものがあるそうです。
一職員からの告発が「確実な証拠や資料」と言えるかどうかが問われることになるでしょう。
また、議員が議会で告発や指摘をすることが結果的に名誉を損なうことがあった場合でも責任を問うたり、処罰するべきではない。それは発言の自由を損ない、議会のチェック機能を損なうものである、という意見もあるかと思います。
その点は確かにそうだと思います。日本共産党も、国会・地方議会で議員の発言に制限を加えるような規則や法律・条例に対しては反対しています。
ですが、その前に議員の発言の自由の範囲について考えてみます。
国会議員には、憲法51条により院内での発言に対する「免責」が認められています。地方議員には免責の明確な法令上の根拠はなく、国会議員からの類推、また議会の発言自由の原則の尊重から不文律として存在しており、地方議員が免責されるのかどうか判例も分かれているようです。(なお、地方自治法で、無礼な言葉遣いや他人の私生活にかかる発言をしてはならない、という制限はかかっています)
判例を見る限りケースバイケースのようですが、議会内での発言で名誉毀損を問われても、有罪となったり損害賠償が認められることはあまりないようです。
ただ、これは国会議員の場合でも同じですが、その内容を含んだ文書を配布したり、議会外で発言したり、サイトにアップした場合には、民法で損害賠償が認められているケースがあるようです。(口頭や文書での『議会報告』ではどこまで認められるのかは、私には判断がつきかねます)
議員の発言の自由は、あくまでも議会におけるものに限って保障され、議会外では制限を受けると言えそうです。
今回の件については、議会でとり上げたこと自体は問題にならないかもしれません。議会外での取り上げ方がどうであったかが問われます。もちろん、ツイッターなども含まれます。
もう一つ、大事なのは道義的責任です。
議員が議場で発言するということ、それは議事録として残る、住民誰でも閲覧可能な状態でずっと残り続けるものであり、マスメディアにも流れる場合があることから、その発言の重みは大変なものがあります。ゆえに、発言には慎重を期すべきであり、法的責任が免責されているからこそ、道義的責任を多く背負っているともいえると思います。
議会で特定の個人や団体を非難するような発言を行う場合には、十分な裏付けを取るか、裏付けはないが自分は十分に真実と確信できる、公益のためにあえて明らかにするというくらいの重みを自覚して発言をすべきであると思います。
そして、相手と見解が食い違えば真実性を争い、もし自分の方が間違っていれば法的責任を問われなくても謝罪、訂正を行い、相手の名誉を可能な限り回復するように努めなければならないと思います。これは、今回の件を当初「スクープ」とはやし立てて報道したマスコミも大いに責任があると思います。
私たち共産党議員団にも、時々内部告発の文書などが送られてくることがありますが、これを議会で取り上げる前にまず裏を取るべく慎重に調査・検討を行います。もしその「告発」が、特定の人を陥れるためのものであるならば、私たちがそれを議会で告発すれば、その人の名誉は取り返しがつかないほど傷ついてしまうからです。
ゆえに、裏付けがあるか、裏付けは不十分だが、十分に真実と信じられると判断してはじめて、議会で公の場にさらします、
私は、今回の件では、市長・市議、また会派としての「維新の会」は、虚偽の事実に基づいた批判、攻撃を行ったことを認め、刑事・民事上の責任を問われなくても、組合に対して謝罪と、ウェブや文書を用いての訂正を行うべきであると思います。
また、こうした対応をとらない場合、労働組合の名誉を毀損したとみなされてもやむを得ないと思います
わたしも、橋下市長率いる維新の会の行為は、交通局労組に対する“名誉毀損”になるのではないか…。と、釈然としないものがありましたが、向川さんのご説明により、理解できました。ありがとうございます。
>議会で特定の個人や団体を非難するような発言を行う場合には、十分な裏付けを取るか、裏付けはないが自分は十分に真実と確信できる、公益のためにあえて明らかにするというくらいの重みを自覚して発言をすべきであると思います。
その通りですね…。公人としての最低限の心得だとおもいます。
今回の一連の件は、橋下市長の、“労働組合憎し”に凝り固まった思考に基づく「労組叩き」の一環であると思います。今回の件を些細なことと看過すれば、憲法第19条や労働組合組合法に抵触する“思想調査アンケート”などの様に橋下市長の匙加減ひとつのやりたい放題の蛮行が許され…、労組のような被害者が、際限なく作り出されかねません。 橋下市長に、道義的責任があるからには労組と国民に真摯な謝罪があって然るべきと考えます。 向川さん…。今、日本は橋下市長の独裁・恐怖政治を皆が応援しています。そんな中、政党では先の参議院予算委員会の日本共産党山下芳生議員の“思想アンケート調査”に関する質疑にみられる通り、日本共産党のみが、ハシズムと真正面から対峙していますね。大政党はハシズムに阿る態度を取り続けています。なんとも情けない…。
元衆議院議員で、絵本作家の故いわさきちひろさんの夫でもあられる松本善明(85)さんが、ご自身のブログ【新時代】で、橋下批判を精力的にされてみえます…。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/601757/508841/71651183
氏は、日本共産党衆議院議員として通算11期にわたり、歴代政権を厳しく追求され、ロッキード疑獄では、国会論戦をリードされた方です。戦後、レッドパージの被害に遭いながらも松川事件の弁護団のおひとりとして、権力と闘われた不屈の方です。
向川さんの今後のご活躍を祈念させて頂きます。