今回、補正予算も特別問題のあるものではなく、反対しませんでしたが、
条例改正の案件について、反対を行いました。
市立看護学校の授業料等徴収についての条例改正で、
今回、初めて「入学金」制度(市内在住者5万円
市外10万円)が創設されることになりました。
この入学金創設については、当初から私たちはその理由に不審を
持っていました。
入学金を徴収しても、経営上のメリットは小さく、またそうまでして
増収を図らなければならない経営状態でもなかったからです。
市側の説明では、「看護師をめざす学生は、4年生大学を志望する
人が増えており、入学金を徴収しない本校は「すべり止め」の
学校として選ばれやすく、入学辞退が生じているということで
それを予防するために入学金制度を作る必要があるとのことでした。
しかし、入学辞退者が出ていても、補欠合格によって、
定員割れを起こさずに生徒数は推移しています。
また、入学金を徴収している他の公立看護学校でも、やはり
四年制大学との併願による入学辞退は発生しています。
「滑り止め」を防ぐために入学金制度というのは、根拠が
弱いと考えます。
「優秀な受験生を集める」ということであれば、入学金を徴収しないことで、
むしろ、受験生を集めるポイントになっているのではないでしょうか。
現に、大和高田市立看護専門学校の一般入試倍率は3倍から5倍の狭き門に
なっていて、そうした中で先行されるのですから「滑りどめ」の人がいても
「優秀な生徒」が集まっていないということにはならないでしょう
他方で、それだけの入試をくぐり抜けて入学しているはずの学校、
しかも定員30人の小規模校において、毎年のように留年、中退が
複数人発生しているという現状があります。
しかしこれは、入学金などという問題ではないでしょう。
入学後の教育の問題であり、あるいは入学時の選考の仕方に
問題があるのではないでしょうか。
見直すべきは、こちらの方だと思います。
もちろん、補欠合格というのは受験生にとって負担が大きく、
あまり増えるのは好ましくありませんが、入学辞退者は毎年2.3名に
とどまっています。
もう一つ、入学金を徴収する代わりに高額な指導関連費等の負担を
引き下げるような方法が提案されていれば私たちも考慮できましたが
そうしたことは盛り込まれていません。単純な負担増となる可能性が
大きいのです。
看護師は、現在でもなお、女性が自立し、手に職をつけることができる有力な
職業としてみなされており、経済的に苦しい世帯の子女が、自立のため、あるいは
家族のために看護師をめざし公立看護学校を受験されるケースが少なくありません。
そうした中で、入学金という形で負担増を行うことは、ハードルを高くしてしまう
ことに他ならないと思います。
市立看護学校には独自の奨学金制度はなく、ごく限られた公的奨学金をもらうか、
他の病院の奨学金をもらうかしかない状況です。
(委員会では市長が奨学金制度があると答える一幕もありましたが、現在は
ないようで、過去にあったか、または休眠しているものがあるのかもしれません)
こうした趣旨で、本会議で沢田議員が反対討論を行い、他会派からも反対討論が
出ました。また、賛成討論があったため、私が再度の反対討論を行いました。
沢田議員の反対討論に追加して、私の思うところを述べました。
「併願受験を減らす」と「優秀な受験生を集める」というのは矛盾している。
併願受験する子は、どうしても看護師になりたいから併願するのであり、
そうした受験生を、自校専願でないからと忌避すべきものではない。
そもそも「優秀な受験生を集める」という考え方に、強く違和感を感じる。
看護学校の社会的使命は「優秀な看護師を育てる」ことであり、
「優秀な受験生」とは何か、それが優秀な看護師を育てることにつながるのか。
入学考査で見るべきは、学業に支障ない基礎学力と、
どうしても看護師になりたいという意欲ではないのか。
そうして意欲ある生徒を集め、3年間しっかりと教育し、優秀な
看護師として送りだすことが看護学校の使命である。
入学金の徴収は、経済的に苦しいけれどもどうしても看護師になりたいという
生徒にとってのハードルを上げるものである。むしろ、入学金制度を
もうけないことが、意欲ある生徒を集めることにつながる。
ゆえに、この条例改正には反対する。
結果は、反対討論を行った3人のほかはすべて賛成、14対3での賛成可決となりました。
入学金制度の創設は不可避となりましたが、負担軽減策や奨学金について
引き続き要望したいと思います。
各式典では市長や議長はよく来られているのですが、学校で起こっていることはなにも分かっていないように思います。
3月の予算委員会においては、看護学校のトイレが古くなっており、また男子学生の数に対して男子トイレが足りていないという声を議会に取り上げました。
病院の新施設建設の投資の一方で、収益が増えない看護学校には予算が回されておらず、設備の劣化が生じているという声もうかがっています。
ご意見いただいた入学金や指導関連費用の負担の問題も、9月の決算審査の折に取り上げ、改善を迫りたいと思います。