大和高田市は「財政難」なのでしょうか?
確かに、2000年代は財政危機が深刻で、累積赤字も増加していました。
90年代に景気対策もあって大々的に行われた公共事業、施設建設の借金返済が重くのしかかってきたこと、
小泉政権下での地方財政改革、いわゆる「三位一体の改革」で市の収入が実質的に減少するという
もとで起こったものです。
その後、人件費抑制や行政サービスのカットなどの財政再建が行われ、2011年度からは12年連続で実質黒字となっています。
2021年に新市役所が完成しましたが、その建設のための基金を引いてもなお、黒字と財政調整基金(貯金)は増加しています。

財政調整基金は、2018年、19年にかけて公共施設ブロック塀の改修と学校エアコン設置のために取り崩しを行いましたが、
それ以外では取り崩しが発生せず、令和5年3月の見込み額で24億円に上っています。

大和高田市は、財政が楽というわけではありませんが、やりくりして独自の施策を考えることができる程度には
財政力があります。にもかかわらず、市は、国や県からの補助金の有無などを重視して、市独自の施策に対しては
極めて消極的です。コロナに対する事業でも、令和3年度に5.2億円が使われましたが、市の財政からの拠出は約2000万円のみで
ほとんど国からの交付金の範囲に限定されていました。
市民の困りごとや街の問題点の解決よりも、役所にとっての都合を基準に考えていたら、まちづくりもうまく行かないと思います。
また、基金の活用について、これからは高齢化と人口減少で財政が厳しくなると見込まれるため、黒字を引き続き維持し、今以上に基金を蓄えていくことが必要である、と市は述べています。
もちろん無駄遣いはできませんが、体力のある今こそ高齢化と人口減少へ対策を打つことが必要ではないでしょうか。
また大和高田市は空き地・空き家の増加など、古い街ならではの問題を抱えています。これらの問題にもメスを入れ、新しい住民や
事業者を迎えるために、これまでの黒字の一部を積極的に活用するべきです。
今こそ、財政の積極活用を。
あわせて、市職員の「減らしすぎ」状態を解消し、人員の適正配置で行政機能を回復すべきです。
人員削減で業務の管理機能が低下し、不祥事が続いています。過重負担から中堅以上の職員の病気休職も続いています。追記として、介護保険事業会計についてもお話します。
介護保険会計の黒字と基金は、右肩上がりになっています。

介護保険事業は、基金を取り崩して保険料の抑制に充てることになっていますが、実際は保険料も右肩上がりです。
基金の取り崩しは、予算では計上しても決算ではゼロになることが続きます。
基金を活用し、介護保険料の引き下げを。
一般会計と同じ理屈で、将来のための備えを言って引き下げには消極的ですが、介護保険の基金積立は公的年金のそれとは違い、
将来に備える性質のものではそもそもありません。
令和6年の保険料改定時には、介護保険の引き下げを。
どうしても保険料を下げられないのならば、現状維持のうえ
給付の拡充で被保険者に還元すべきです。
例えば、地域支援事業の一環として「補聴器購入費助成」「帯状疱疹ワクチンの費用助成」を組み込み、介護を予防し高齢者の健康を保持する事業として実施するなどの方策を提案します。