2023年04月22日

お年寄りがいつまでも元気で暮らせるために


今回、私が提案している高齢者向けの政策のうち、私がこれまで一般質問で取り上げ、特に重視している2つをご紹介します。


@加齢性難聴への補聴器購入費用助成制度

 年を取ると耳が遠くなる、聞こえにくくなるのは、いわゆる老化現象としてもよく知られているものですが、近年、難聴と認知機能の低下との関係が注目されています。難聴になると人とコミュニケーションが取りにくくなり、そのために社会活動が低下してしまう傾向があります。外出が億劫になったり、人が集まる場所へ行きにくくなったり、また、聞き返すことが恥ずかしくストレスを感じるので、電話をかけるのも避けたくなる、電話がかかってきても出ないようになる、こういったことも起こっています。
 高齢者で難聴に悩む人は、70代では男女とも6割から7割に上ると見られています。日本では、こういった加齢性難聴の人は1,500万人に上っているとも言われています。そして、この加齢性難聴が認知機能の低下に及ぼすリスクは大変大きなものであり、1.6倍とも言われています。逆に加齢性難聴を解決できれば、認知症を9%減らせるという研究もあるくらいです。
 こういった加齢性難聴は、認知症のリスクの中でも医学的な対応が可能なものです。対策として最も一般的なものは補聴器ですが、一般に高価で、年金生活の高齢者にはなかなか手が届きにくいものになっています。軽症なうちはまだ大丈夫だと我慢している人もいます。しかし、早期の発見、介入が認知症予防に有効であり、加齢性難聴への対処を促す施策も必要です。
全国的に実施する自治体が広がっています。奈良県でも香芝市や斑鳩町、御所市などが始めています。介護保険事業の介護予防の一環で行うこともできるので、大和高田市でも黒字の活用として行うべきと考えます。

A帯状疱疹ワクチンの予防接種助成

 帯状疱疹は、神経に沿って皮膚に皮疹、いわゆるぶつぶつができ、非常に強い痛みやかゆみを伴う病気です。時には目の炎症や髄膜炎、血管炎などを起こし、後遺症として強い神経の痛みや筋力の低下、顔面麻痺、視力・聴力低下などを残すことがあります。
 この原因は水痘ウイルス、いわゆる水ぼうそうのウイルスです。日本の中高年の多くは幼少期に水ぼうそうにかかっていて免疫がありますが、このウイルスは水ぼうそうが治っても消えるものではなく、体内で潜伏を続け、免疫が弱ってくるとまた出てきて帯状疱疹を起こすという特徴があります。
 免疫が弱くなる原因は、病気や疲労、加齢などによる体力低下がまずありますが、この免疫は、一度免疫がついた後で、また世の中の水痘ウイルスとの接触があることで刺激されて保たれているという特徴があります。それがなくなると免疫が弱くなる、言わば体が忘れてしまうということが起こります。
 2014年から子どもの水痘ワクチンの接種が定期接種となり、水ぼうそうの感染者が大きく減っています。さらに、この1年以上、コロナ禍において人と人との交流が減少することにより、今後、高齢者において水痘の免疫がなくなって、帯状疱疹の患者が増えることが心配されています。
 帯状疱疹は、80歳までに3人に1人がかかると言われており、また、50歳以上で帯状疱疹にかかった人の約2割に後遺症が残るとされています。帯状疱疹の後遺症は活動性の低下や痛みによる抑鬱などで、心身の自律性を低下させ、高齢者であれば介護が必要になる可能性を高めてしまいます。
 このような帯状疱疹を予防するために、日本でも2016年から50歳以上へのワクチン接種が承認され、また、2020年からは、より効果の高い新しいワクチンも承認されました。こうした水痘ワクチンへの助成制度を行っている自治体もあり、助成額は3,000円から2万円以上と幅が広いですが、実施自治体数も少しづつ増えてきています
 帯状疱疹の予防接種は、新しく効果の高いワクチンは3万円から4万円ほどかかり、それが普及の妨げになっています。これに対しての助成、半額程度にしたとしても、少なからぬ支出になりますが、高齢者が帯状疱疹にかかった場合、順調な経過でも外来で総額8万円程度、入院した場合25〜30万円の医療費がかかります。後遺症を残した場合はさらに嵩んできます。
医療費を抑制し、介護を予防するという点で、帯状疱疹のワクチンへの助成は意味があります。


お年寄りが介護が必要な状態にならず、いつまでも元気で暮らせることは、本人は勿論、若い世代にとっても負担を軽減することになります。
介護予防の施策の一環として、私はこの2点を大きく進めたいと思います。

posted by 向川まさひで at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 市政2023年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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