現在、職場の病院の当直中です。珍しく落ち着いた当直なので、
ブログの更新もできそうです。
深夜の当直では、事務職員の仕事は受付対応や会計などごく限られたものです。
(まれに酔っ払いが入ってきたり、混乱している患者さんを抑えることもありますが)
しかし、医師・看護師・介護職はほとんど寝る間もなく仕事をされています。
本当に頭が下がりますし、時として患者さんに何もできない事務職の無力さを
感じることもあります。

△患者さんの居なくなった外来待合室。ひとときの静寂につつまれています。
今日のような日は例外で、私の勤務する病院では夜間救急外来の件数は
年々増えています。
医師不足で救急受け入れが可能な病院が減っていることが一番の原因ですが、
他にも、医療費負担や仕事への影響を気にして、日中は病院に足が向かず
どうしょうもないギリギリまで「我慢」される人が増えているということも
現場から見える大きな要因です。
大して重症でもないのに深夜に救急車を呼ぶ、安易な救急利用、
時間外受診かと思われるケースも、少数ですがあります。
ただ、安易な救急利用と言っても、現在急増している独居や夫婦二人暮らしの
高齢者などは、夜間に急に具合が悪くなれば、重症でも軽症でも救急車以外に
アクセスがない場合があります。(地方では深夜のタクシーはあまりあり
ませんし、『急病人』を運ぶことはできないと言われることもあります)
こういうのまで『安易な』利用と言っていいのかどうか、線引きが難しいと思います。
いずれにせよ、日中の「時間内」にきちんと病院にかかれるような仕組みが必要です。
時間外診療ではスタッフも少なく、検査も不十分にしか出来ず、患者さんにとっても
スタッフにとっても、負担とリスクがたいへん大きいものです。
できれば、時間内に受診してもらいたいと思います。スタッフの数も多く
十分な対応が出来ます。もしそれがさまざまな理由で難しいのならば
難しくさせている原因にメスを入れ、改善するのが、制度や政策を作る者の仕事です。
医療や介護の政策はもちろん、労働政策やいろんな制度を変えなければいけないので
一筋縄ではいきませんが、私のライフワークのひとつにしたいと思います。
少なくともお年寄りと子どもについては、お金を気にせず医療を受けられる仕組みにし、
介護保険の充実や健診の充実で健康維持と病気の早期発見をすることでかなり
改善できるのではないかと思います。また、体の不自由なお年寄りに、医療機関への
お金のかからないアクセス手段を保障することも必要です。
一昨年、奈良県の医療のパンクを防ぐためと称して、奈良県が出したパンフは
ひどいものでした。
要約すれば「安易に医者にかかるのはやめましょう」
「風邪くらい家で寝て市販薬で治しましょう」という呼びかけです。
自己判断で具合を悪くしてから我慢できずに急患で来る人が増えれば
それこそ医療機関はパンクしますし、患者さんにとっても大変不幸な事態です。
受診の抑制ではなく、「早期受診」「定期受診」「時間内受診」に患者さんを
導いてこそ、医療費軽減と住民の健康維持が実現できます。続きを読む